ステークホルダーエンゲージメント
日本郵政グループは、お客さまや地域社会などあらゆるステークホルダーの皆さまのお役に立てる「トータル生活サポート企業グループ」を目指しています。そのため、ステークホルダーの皆さまから当グループに対する要請や期待を、対話などを通じて的確に把握し、それらに応えていくことが重要だと考えています。
ステークホルダー | 主なエンゲージメント方法 |
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お客さま |
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NPO・NGO |
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お取引先 |
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株主・投資家 |
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地域社会 |
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従業員 |
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有識者ダイアログの実施(2019年8月20日)


ファシリテーター
CSRアジア 日本代表
赤羽 真紀子氏
2019年8月20日、3名の有識者をお招きし、有識者ダイアログを開催しました。
昨年のダイアログで頂戴したご助言を踏まえて当社グループが実践した主な取り組みや、日本郵政グループに求められていること、今後目指すべき姿などについて、さまざまなご意見・ご提言をいただきました。
有識者コメント

明治大学経営学部 特任教授 関 正雄 氏
もはや気候変動に関しては、非常事態であるという認識を持たなければいけません。温室効果ガス削減目標について日本政府の削減水準を基準にするのではなく、自社でもっと高い目標を掲げるべきです。そして電気自動車(EV)の導入で日本をリードするとともに、ドローンの活用や自動運転など、新技術導入にもぜひ本腰を入れていただきたいですね。また、この度のかんぽ生命の契約の乗換等に係る事案は、もう一度日本郵政グループという企業の存在意義や社会的責任について考え直すチャンスでもあると思います。ボトムアップで現場の人たちの意見を吸い上げ、全員で議論することをお勧めします。そして幅広いステークホルダーと対話し、それを文化として根付かせることができれば、会社を変えるきっかけとなるはずです。

日本サステナブル投資フォーラム 会長 荒井 勝 氏
昨年課題として指摘した点も含めて、対応状況はかなり進んでいますね。しかし、近年では、気候変動は中長期的に見れば企業にとっての財務リスクにもつながると考えられていますから、その点が経営の判断や経営方針へ組み込まれていないと大きなマイナスとなります。また、日本の金融教育にはSDGsやESGが絡められておらず、自身の事業でリターンを得ながら世の中の役に立つサービスや製品を生み出す資金の流れを作るのが金融の本質であるという点が抜け落ちています。ゆうちょ銀行には、従業員に対する教育も含め、率先してそういった金融教育に取り組んでいただきたいと思います。かんぽ生命の契約の乗換等に係る事案については、取締役会の監督機能をさらに強化していく必要性がありますね。来年の報告書では、取締役会の在り方やチェック体制がどのように変化したのか、どのような対応をとったのかについて詳細に報告すべきでしょう。

サステナビリティ消費者会議 代表 古谷 由紀子 氏
人権方針や調達ガイドラインを策定されるなど着々と取り組まれているのは素晴らしいと思います。さらに日本郵政グループのバリューチェーンの中にどのような課題があるのかを具体的に示すとよいでしょう。また、公正な取引や消費者の安全はSDGsの目標に掲げられてはいませんが、持続可能な社会づくりの基本ともいえます。今回のかんぽ生命の契約の乗換等に係る事案を受けて、こうした基本的な課題についてしっかり押さえていく必要があるのではないでしょうか。持続可能な社会に向けて企業が何に取り組むべきかについては、組織の社会的責任に関する国際規格ISO26000を参考にされるとよいでしょう。加えて従業員にこそESD(※注)が必要だと考えます。経済や金融分野のESDとして、ぜひ従業員そして消費者への金融教育を推進していただきたいですね。
※注 ESD
Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)。
有識者コメントを受けて

日本郵政株式会社
執行役
木下 範子
これまで取り組んできた部分をしっかりとブラッシュアップして、次のフェーズへ踏み込んでいく必要があるのだと身が引き締まる思いです。特に環境問題に対する取り組みを加速しなければならないという思いを強くしました。世の中の動きをしっかりと捉え、各種のリスクや社会課題を経営・戦略に結びつけながら、そしてお客さまからの信頼が事業にとって最も重要であるということをもう一度胸に刻みながら、CSRに取り組んでまいりたいと思います。
2018年度以前の有識者ダイアログ
お客さま本位の業務運営
日本郵政グループは、お客さま本位の業務運営の更なる推進に向け、「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を制定((株)かんぽ生命保険:2017年4月、(株)ゆうちょ銀行:2017年6月、日本郵政(株)・日本郵便(株):2018年3月)しました。
日本郵政グループでは、「郵政ネットワークの安心、信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客さま本位のサービスを提供し、地域のお客さまの生活を支援し、お客さまと社員の幸せを目指します。また、経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に貢献します。」との経営理念を掲げ、お客さま本位の業務運営に取り組んでいます。
「お客さまの声」を経営に活かす取り組み
お客さまの声を経営に活かす取り組み~体制図~

日本郵政グループでは、お客さまの声を集約・分析し、必要な改善を行い、お客さまにご満足いただける商品・サービスなどの提供に取り組んでいます。
会社 | お客さまの声 | お客さまの声改善内容 |
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日本郵便 | 地方版の年賀はがきを毎年楽しみにしていたので復活してほしい。 | 地域の公式マスコットキャラクターなどが描かれた19種類の寄附金付絵入り年賀葉書(地方版)を地域限定で発行しました。(2018年11月1日~) |
ゆうちょ銀行 | ゆうちょ銀行ATMの利用できる時間を延ばしてほしい。 | ゆうちょ銀行ATMの入金のご利用時間を延長し、入出金のご利用時間を同じ時間としました。 |
かんぽ生命保険 | 高齢なので、他の家族に連絡が行くようにしてほしい。 | 「ご家族登録制度」を新たに導入しました。登録されたご家族に対して、契約者さまと同範囲で契約内容を開示できるようにし、ご家族による保険契約の維持・管理のサポートがしやすくなるようにしました。(2018年4月~) |
グループ顧客満足度調査
お客さまからみた商品・サービスの状況を的確に把握し、新たなニーズなどに対応するため、お客さまの満足度や利用意向などの評価について調査を実施しています。
日本郵政グループでは、より一層のお客さま満足の向上のため、今後とも定点観測を行うとともに、このグループ顧客満足度調査で得られた結果を経営に活かしてまいります。
グループ総合満足度
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あなたは、郵便局等に関して、総合的※1にどの程度満足していますか。
※1窓口・電話対応や郵便局等で取り扱っている商品・サービスの種類の多さや内容、営業曜日・時間、設備面を総称して「総合的」といいます。
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(満足:79.5% 不満:4.4%)※2
※2 本調査は2018年10月に実施した調査です。
株主・投資家との対話
日本郵政グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主・投資家等の皆さまに対して正確かつ公平に情報を開示するとともに、株主総会のほか、個人投資家の皆さまに向けた説明会や、アナリスト・機関投資家の皆さまとのカンファレンスなどの機会を通じて、株主・投資家の皆さまとの対話に取り組んでいます。こうしてお寄せいただいた株主・投資家の皆さまの貴重な声をしっかりと経営に反映し、企業価値のさらなる向上につなげてまいります。

個人投資家向け説明会の様子

株主総会の様子